〜自作桶胴太鼓にチャレンジ〜
(平成14年6月9日)
太鼓 作成&文章:馬場パパ
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はらから


平成14年8月、自作太鼓初演の模様です
(自作1尺5寸・桶胴2個が使用されました)

出来上がり-1 マニラ麻の調緒です 
出来上がり-2  クレモナロープ6mmの調緒です
道具 これを使うと太鼓作りが倍楽になる道具(?)

☆1尺5寸桶胴太鼓製作記をダウンロード☆  pdf
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2007年8月時点報告:
最初の桶胴太鼓を2002年に作り、2007年8月まで使っていますが、胴も革も問題なく使えています。 製造から数年で一部に縫い糸の切れた部分がありましたが、その部分は新たに糸を通して縫っておきました。心配していた桶胴も割れるようなことも無く、思ったより頑丈でした。今でもこのページを見てくれている方が結構あって、時々は、このHPを参考にして自分の桶胴太鼓を作ってみました〜とレポートをいただくこともあります。そんな訳で、このHPを参考に桶胴太鼓を作られる方の参考に、以下の方法で作っても、5年間は大丈夫でした、と安心していただく為にこの文を追加しました。 とは言っても使用頻度や扱いによっては、革も胴も簡単に壊れてしまいますので、ご注意ください。

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ここから原文:

犬ガム太鼓製作からスタートして、やっぱり本物の太鼓を作ってみたい と思い、ついに桶胴太鼓の試作に着手。試行錯誤の結果なんとか形になりましたので、簡単に製作の様子を発表します。MY太鼓が欲しい君に朗報だよ。少ない 予算でもしっかり作業すれば結構作れますよ。なにか質問があれば管理人に、メールください。分かる範囲で相談にのります。といっても素人の日曜大工で作っ た太鼓ですからあまり期待しないでくださいね。でも自分で作ったMY太鼓ならきっと演奏にも気持ちが入るね。
★重要な注意★いきなり本格太鼓に取り組むのではなく、出来れば犬ガム作りで皮(革)になじんで置いたほうが良いです。

■構想:練習やステージで使える桶胴太鼓の1尺4寸 〜6寸くらいのもの。平置き、担ぎに使える、格好よいもの
■材料:極力自宅の近くのDIYショップで入手出来る材料を使用す る。(次に作るときに楽だね)
■製作:電動工具等使わず通常の工具でがんばる(と言うか電動工具 もってない。あるのは電動ドリルと電動ジグソー)
■費用:市販品の1/3以下の費用で作る(出来ればもっと安く)
★直径1尺6寸位の太鼓を作りたいと思い、い ろいろ材料を検討しました。太鼓に使う革は浅草の専門店から送ってもらうしか方法がありません。価格面から50cm直径の革で設計することにしました。胴 に使う板材はDIYのお店でサイズを自由に選べますので大きな問題はありません。問題はやっぱり革を縫い付ける金輪です。DIYのお店に9mm直径で 180cm位の鉄の丸棒が200円ほどで売られているのは調査済ですから、これを曲げてロウ付けして使うか、溶接して使うか迷うところです。そんなこんな で DIYのお店を物色していたら庭園コーナーに巨大プランターを発見しました。約44cm直径の外形。これに革の厚み等を加えるとほぼ 1尺5寸の外形になります。収縮チューブのようなものが鉄棒を覆っているので、金棒の直径は不明ですが、まあ8mmはありそうですし、腕で押してみるとず いぶんしっかりしているので、今回はこれを使うことにします。一応磁石を使って鉄であることを確認しました。

設計:(以下は当初の設計で、必ずしもこの設計がベストと言う意 味ではありません)
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目標: 1尺5寸(45cm)直径の桶胴太鼓の自作
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@ 金輪の直径:44cm。プランター極太50号の直径が44cmなので、これを基準にして胴の直径や長さを 決める
A 胴の直径:44cmの金輪の内側に3cm位の余裕で収まる見当で考える。44cm-3cm-3cmで、胴の直径は38cm
B 胴の円周:38cmx3.14=119.32cm
C 板の幅:使用する板の枚数が多いほうが、胴が丸くなるので20枚程度と仮定する。119/20=5.95cm 約6cmとする
D 胴の長さ:手元の桶胴太鼓の比率から、金輪の直径x1.15〜1.2程度が胴の長さと思われる。ここでは44cmx1.2=52.8cm
E 板の厚さ:特に限定はないが、平置き用は少し頑丈に1cm厚、担ぎ用は5mm位とする
F 板の材質:平置き用=杉板  担ぎ用=桐板 とする
G 接着面の角度:20枚の場合、接着面の角度は:360/20=18度 (板の両再度を削る場合9度づつ削る)
➈ 革:平置き用:フジトウ商事の牛革・薄を使用  担ぎ用:フジトウ商事の牛革・極薄を使用する
I 縫い糸:木綿糸 又は クレモナの糸とする 太さ:1mm
J 塗装:胴の表面塗装は水性ニス・ヒノキ色とする 3〜4回重ね塗りとする 又は油性ウレタン塗料
K 胴の補強:完成後胴の外側を三箇所ロープでしっかり締めて補強とする。ロープはボンドで胴に固定する
L 革に開けるロープ用の穴:1尺5寸のプロ品が12穴だったので12穴とし、直径10mmとする
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重要な注意:この設計では金輪の直径に比して胴の直径が 大きすぎ、ロープでなかなか革をしっかり締めることが出来ません。何度か作った経験から、この設計を生かすとすれば、板の枚数を20枚ではなく、18枚と して胴を作れば、18枚x6cm/3.14=34.4cmで金輪と胴の間に5cmの間隔がとれ、革がしっかり締まります。
写真を見ながら作業順に説明します

写真-1 :14mmx60mmx530mm の杉板 20 枚



別作・米モミ材の加工

杉材はお店で斜めにカットしてもらいましたが、
米もみ材は自分でカンナをかけました。
写真はカットする斜めの線(18度)を引いたところ。
この線までカンナで斜めに削ります

■DIYショップで14mmx60mmx1820mmの杉板を 長さをそろえて切ってもらい、斜めのカットもお願いしました。杉板は赤い方が芯に近く強いので赤味の板を選びました。とは言え、在庫10本ほどしかないと ころから7本選ぶのですから、あまり贅沢は言えません。すでにかなり曲がりの来ている板もあり、かなり乾燥しているらしいことが確認出来、ちょっと安心。


!ヒント:板の角度は使用する板の枚数で360度を割って出します。そしてその角度を半分にして、板の左右をカットします。20枚なら360度/20= 18度となり、左右をその半分の9度づつ斜めにカットします。または一方のみ18度でカットし、もう一方はカットしない方法もあります。少しお金をセーブ 出来ます。上 にも書きましたが、桶の狂いを最小限にするため、なるたけ乾燥している板を買いましょう。「焼き杉」材もいいかも知れません。板の角度は太鼓のサイズに無 関係です。1尺2寸でも、1尺6寸でも、使用する板の枚数が同じなら角度は同じです。20枚使うと、カンナがけでほぼ円形に仕上げられます。

写真-2 :処理の終わった板を桶にしているところ
★実はこの工程が結構大変。私は板を横に並べて、20枚の板をテープで3箇所固定し、一枚ずつボンドを塗 り、塗り終わったら胴を立てて、テープを引っ張って丸くし、左の写真にあるようなビニールの紐で仮止めし、板の位置をそろえました。急いで作業しないと途 中でボンドが乾いてしまいます。誰かに手伝ってもらった方が良いです。位置が決まったら、ぎりぎり、ぎりぎり締め上げます。

■板の組み合わせをいろいろ検討し、ボンドで貼り合わせ、梱包 用の紐でぎりぎりに締め上げているところ。接着後の強度はほぼこの工程で決まってしまうので、もっと良い方法があればと思うものの思案及ばず、ナイロン紐 で腕がバカになるくらい締め上げました。


!ヒント:ボンドが全面に塗られていないと、強度が出ませんの で、ローラー等を使って、しっかりボンドを塗りつけます。(片面だけですよ) また板と板の間に隙間があると十分な強度が出ませんので、少々板が曲がって いても、この圧着工程で、むりやり密着させます。腕が馬鹿になるくらい頑張りましょう。
あと、接着すると余ったボンドがはみ出してきます。外側にはみ出してきたボンドは濡れ雑巾か何かでふき取っておきましょう。

注意:その後どこかのサイトで読んだけど、接着に最適の 力ってのがあって強く締め上げれば良いとはいえない様です。 って事は特別の道具が無くてもなんとかなるってことでしょうから少し安心ですね。

写真-3 :かんなくずの山


クリック・カンナがけ

この台があると安定してカンナがけ出来る。
米モミ材を自分でカンナがけしているところ。
出来上がりは、やっぱりと言うか当然というか
若干いびつになりました。でも問題なさそう。

■一昼夜してボンドが乾いたら、 カンナで角を丸く削除。唄口もカンナとナイフで処理。重量を減らす為にも板を薄くする必要があり、せっせとカンナをかけて、紙やすりで全体を滑らかに仕上 げ、その後ウレタン塗装を3回重ねました。ベランダは鉋屑の山。


!ヒント:カンナの使い方に慣れていない人は、余っている板等 で練習しましょう。カンナの歯は出しすぎないよう気をつけて。木の目を逆にカンナがけすると、きれいに仕上がらないので気をつけましょう。担ぎを目的とす る場合は、カンナで14mmの板が10mm位になるまで薄くした方が軽くて良いですね。あらかじめDIYのお店でカンナがけしてもらえば楽です。


塗料はウレタンを使用しました。ウレタン塗装は衝撃に強いので宮太鼓などで胴打ちする場合などに使用します。光沢もありますので仕上がりが綺麗です。水性 ニスでも、カシューでも大丈夫でしょう。二度塗り、三度塗りする場合は完全に乾いてから塗りましょう。急ぐと先の塗装が溶けてきて汚い仕上がりになりま す。あせる気持ちは分かるけど、十分乾燥させましょう。

写真-4 :一応仕上がった桶胴
(内側にいろいろ書いておきました。)


左・杉      右・米モミ


奥に立てかけてある筒は届いたばかりの生革です

唄口の処理についての愚考

■今回作った桶2個
左:杉板使用の桶(今回紹介のもの)

右:米モミ材を購入し、自分でカンナを使って斜めカットしたも の。板の種類が違うため、同じウレタンの3回塗装でも色が少し違います。(モミは杉より1割方重い感じです)米モミの方がカンナがけは楽ですしナイフも使 いやすいです。この二つの桶作成がほぼ同時進行しました。(注意しながら作業すれば、カンナでも 18度の角度でカット可能です。分度器使って削る量を測ります。DIYのお店によっては斜めカットしてくれませんので、自分でカンナがけするつもりでいた ほうが良いかも知れません)胴の周りには、紅茶で染めたクレモナロープ(4mm)を3箇所にきつく巻きつけて、補強にしました。すべての作業が終了した時 点でこのロープを胴にボンドで固定します。


!ヒント:担ぎ桶胴には・杉・桐・さわら等の板が使用 されるようです。DIYで購入しやすいのは杉板でしょう。横幅45mm、60mm、75mmなどが市販されています。これらの横幅を参考にして、太鼓の大 きさに見合った板の枚数を決めましょう。 中学時代に習った三角関数が今役に立ちますね。
写真-5 :宅急便で革到着!

■浅草の革屋さんから届いた0.7mm〜1mm、 1mm〜1.2mmの革、各1枚

初めての経験なので、桶胴に使用する革の厚さが分からず、お店で扱っている3種類の厚さから、薄いほうの2種類を選び注文しました。これで試作し今後の革 厚の参考にするつもりです。まだ乾燥革を水に戻してテンションかけて乾燥させたらどの程度の厚みになるのか分からないのでね。宅急便で届いた革を見てびっ くり。思ったより大きい、ごつい、獣臭い!


!ヒント:革が厚すぎる場合は、革を乾燥させてから、 カンナで削るか紙やすりで薄くします。なるたけ均等な厚さとなるよう頑張ってみましょう。ただくれぐれも太鼓の表面に使用する側を削らないこと。と言って も、最初は購入した革でまず作り、音を確認してから、革の裏を紙やすりで薄くしたほうがいいでしょうね。これくらいのサイズになると、風呂桶しか水に戻す 場所がない〜
写真-6 :革を広げてみると(50cm直径の革)


クリック・革の伸びの確認

革の一部を事前に水に戻して、伸び具合の確認をしました。
今は部屋のオブジェになりました

■広げるとこれ位の大きさ。50cm直径の革を購入しました。 カリカリに乾いた革を折らないようにそっと広げてみました。50cm直径とは言え、実際には60cm位の丸い革がとれるほどの大きさがあり、余った革でミ ニ太鼓(直径20cmくらい?)が作れます。これを水で戻し柔らかくしてから作業します。


!ヒント・これらの革は業者の方で処理済みですので、自分でな めす必要がありません。 また業者の方で革を引っ張って乾燥させてますので、水に戻した時にどの程度伸びるか不明です。犬ガムですと方向と革にもよりますが5%〜10%くらいは伸 びてくれます。つまり水に戻して柔らかくなった革を太鼓に貼ると、乾燥の過程で元の大きさに縮もうとしますので、結果、革がパンパンに張られた状態になり ます。革で白い部分と、色の濃い部分がありますね。白っぽい部分は、乾燥時にテンションをかけたために、既に革がかなり伸びていることろです。色の濃い周 辺部分はまだ伸びていません。

写真-7 :水に戻した革にテンションをかけているところ


作業中の乾燥防止の為湿ったタオルの上で作業しました。
一休みするときはこのタオルにくるんでおきます。

■お風呂に水入れて一晩戻し、金輪より大分大きめに切ってか ら、縫い付けます。写真は縫い付ける前にたこ糸でテンションをかけているところです。(写真では糸が見え難いです)太目のたこ糸で均等にテンションがかか るよう、糸が切れる寸前まで力をかけて引っ張りました。この時あまり革を小さく切ると金輪に対して均等にテンションをかけることが難しいです。あまりけち けちせずに少し大きめに切り取りましょう。犬ガムと違って革の面がきれいです。ちょっと感動。


!ヒント:革の繊維をいためない為に、決して熱湯(50度以 上)で戻さないこと。私はたこ糸を使ってテンションをかけましたが、力を入れるため指が切れることがありますので手袋をして作業しましょう。私の手はバリ バリになってしまいました。指の付け根も痛い!! あとから思ったことは、ものすごくテンションをかけるよりもむしろ均一にテンションをかけることに気を つけた方が良いようです。

写真-8 :手縫い中(手縫い用麻糸の”太”を使用)


★縫い目の間隔、ふちからの距離等がばらばらにならないように事前に千枚通しでマーキングしておきました。 ロープを通す部分を避けて縫ってゆきます。こ の道具だけではあまりきつく縫えないので、ある程度縫ったら、上下の糸を引っ張って上の革と下の革がしっかり密着するよう締め上げてゆきます。千枚通しの 先を丸くしたようなものが具合よいです。 そのままだと革を傷つけますよ。

■さあ手縫いの始まりです。直接縫い針で縫うのは厳しいので、 クラフトショップで見つけた皮革手縫い用の道具を使いました。これだと、ミシンで縫ったのと同じように、上糸、下糸を使います。使い方は、ワックスをかけ た麻糸を針に通して、上からプスッと挿し、手で下糸を通し、針を抜き、これを繰り返します。金輪の所々に見える糸は、後でロープを通す為に予め千枚通しで 小さな穴を開け、マーキングの為に糸で縛ったところです。ここは革がある程度乾燥したところでポンチで1cm位の穴を開けます。写真は薄いほうの革です。 厚い方の革は糸を2本使ったのでこの道具で穴だけ開け、麻糸(2本)を縫い針を使って手縫いしました。


!ヒント:皮の手袋をしていれば針で直接縫うことも可能です。 ただ革が乾燥してくると縫いにくいので、縫い始めたらその日の内に縫い上げましょう。皮革クラフトコーナーに手縫い用の麻糸を置いていると思います。これ を手縫い用ワックスにこすり付けて縫っていきます。もう少し太い麻糸が欲しかったけど、今回はこれで我慢。

写真-9 :陰干し中


乾燥するにしたがって、だんだんいい音になってゆきます。
木でフレームつくって団扇太鼓もいいな〜なんて思いました。
犬ガムと違って太鼓の革の色をしてます。
ちょっとうれしい瞬間です。

■ 縫い終わった革2 枚を風通しの良い室内で乾燥中。
さすがに薄い革は乾燥が速いですが、厚いほうは、1/3位の部分に油みたいなものが浮いてきてなかなか乾燥してくれませんでした。時々紙で油をふき取りま した。裏の余っている革をいつの時点でカットすればよいか迷うところです。完全に乾燥してからですと普通の鋏では歯が立ちません。革が湿っているうちに切 断するとテンションがかからなくなり、表の革が縮んできてしまいます。どちらにしても裏の革で、太鼓の胴を支えることになりますので、胴がぴったり入るよ うに切断します。実際には胴の外形より小さい円で切断し、5mmくらい革を立てて、胴がすっぽり入るようにすると良いですね。〜これが結構難しいんだな。


!ヒント:適当に乾燥してきたところで、調べを通す穴をあけま す。8mm〜10mm位の穴をポンチを使って空けます。せっかく縫った糸をポンチで切らないように注意して作業しましょう。

写真-10 :組上げました (杉の胴)


塗装してありますが杉板の色や木目が少し見えます。
お店の在庫が少なく仕方なく節のある板も使いました

クリック・調べを紫に染色し、下げ緒は家内の力作
(実はこれは、桐材で作った胴です。革は1セット分しか作ってないけど、胴は@米モミ、A杉、B桐の3種類作ってみました。演奏の度に胴を変える〜か な??)

■ついに完成。4mmのクレモナロープを調べ緒としましたが、 ちょっと細いので後日変更する予定です。下緒は旅行カバン補強用のものを適当に切断し使用しました。片面(薄い革の方)は普通の桶胴っぽい音がしていま す。もう片方(厚い革)は流石に革がごついため、これはもう普通の太鼓の音です。(って言うか、音が硬い! もっと叩き込んでゆけば良い音になるかも知れ ません)


!ヒント:胴を締め付ける為に、クレモナの4mmのロープで3 箇所縛りました。胴の色に合わせるため、紅茶をお鍋に入れ煮立てた中にロープを10分くらい入れます。これを流水で洗い、また紅茶に入れ、を繰り返し都合 3回染めました。ロープが乾燥したら胴の周りに3回巻きつけ、ぎりぎりに締め上げて縛りあげ、縛った部分をボンドで補強しました。最終的には、胴とロープ の間にもボンドを入れて固定します。


注意:「クレモナロープ」はクラレの商標で、ビニロンを主材料として編んだロープです。他社のビニロンロープとして販売されているものでもほとんど同じで す。

いろいろあって、結局1尺5寸見当の桶胴太鼓を5個作りました。  見てください。 => 5個
2個は桐材で3.8Kg 位。 別の2個は杉で5.5Kg 位、1個は米モミで6Kgほどです。
桐材なら女性でも担ぎに使えます


−新発見− 
■色: ピンク色の塗料ってメーカーによって、うすい肌色からショッキング・ピンクまでいろいろです。
初めての方には、赤と白を購入して、混ぜて気に入った色を作ったほうが良いようです。
私の場合は、赤と白をほぼ同量混ぜて余っている板に塗り、具合を見てから胴に塗り、
やっと依頼者のOKが出ました、、ふう、、、
■塗料: それから乾燥の速い塗料が楽ですね、私の使った油性ウレタン塗料は乾燥に時間がかかり、
3度塗りすると一日では終わりません。水性の光沢のあるペイントが乾燥も速く、3度塗りでも半日で完了します

費用: (消費税が別途必要なります。取り寄せの場合は宅配料金や代引き費用が別にかかります。各値段は記憶に頼って書いてますのであくまで参考です。馬場パパが 実際に購入したお店の名前も書いておきましたので参考にしてください。)


・杉板 14mmx60mmx1820mm x7枚@700円x7枚=4,900円 東急ハンズ (藤沢市)

・板のカット 530mm にカット、 1 枚当たり3 回カット。@50円x3x7枚=1,100円 東急ハンズ

・斜めカット 左右を9 度づつ @100円x2辺X20枚=4,000円 東急ハンズ

・金輪 43.5cm直径のプランター    800円x2個 =1,600円  ビーバートザン(厚木店)

・革 50cm 直径の革 2 枚 @5000 円x2 =10,000円 フジトウ商事 (東京・浅草) 今では半裁以上のサイズしか販売していません

・クレモナロープ 太さ4mmx20m (ビニロンでも同じ) 1,200円 工具店・フルカワ(寒川町)
・ロックペイント・ウレタン塗料一缶 1,000円 工具店・フルカワ (ニスやカシューでもOKですね)
・麻の手縫い糸(太) @300円x2 =600円 東急ハンズ (手芸店でも売ってます)
・手縫い用ワックス300円 東急ハンズ (ローソクでもOKでしょう)
・たこ糸細いもの、中くらい、太いもの1,000円 工具店・フルカワ・東急ハンズほか
・木工用パテ 節の穴や、へこみ部分に使いました
・染料 シンプリコールのNO15 (紫色) 調べを紫に染めるのに使用(塩と混ぜて使います) 350円かな

■費用 合計約30,000円ほど
(安い板材を購入し、すべて自分でカットし、斜めカットも自分でカンナがけすれば2万円以下でも可能です。) 


米モミの胴は斜めカットを自分でカンナがけしたのと、板の値段 が580円だったので、杉よりはかなり安く出来ました。でもその分カンナがけの作業に手間がかかりました。他に穴あけ用のポンチや、金のこ、作業台、刷 毛、カンナ、、、等の設備投資(?)がありましたが、繰り返し使えるものは省きました。使用した 工具は下を参照ください。

製作 後記(反省):

作り上げてから太鼓打ちの息子たちが忙しく、練習で使ったのはまだ2度ですが、太鼓を仕上げてから、2週間 以上が経過し、いくつか反省点も見えてきましたので書いておきます。

@胴に取り付けた時点で革が完全に乾燥していて、これ以上の変化ははいだろうと思ったのですが、じわじわと乾燥が進んでいるらしく、表の革の面に引っ張ら れて、ロープを通す穴の位置が次第にずれてきました。ロープを通してあるので、穴がふさがってしまうわけではありませんが、縫い糸にかなりの無理がかかっ ているような気がします。 いつか切れてしまうかも知れません。
■対策:革を金輪に縫い付けてからも、テンションをかけたときの糸を切らずにおき、ロープ用の穴には1cm直径くらいの棒を通して1〜2週間置く。=>完 全に乾燥した後に、裏の革をカットするのが結構大変かも知れない。 また縫い糸をもう少し太いものにする。

A内側の革の切り落とした部分を立てて、太鼓の胴がすっぽり納まるようにしたが、上記したようにその後乾燥が進んで、胴よりだいぶ大きくなってしまった。
■これも@での対策と同じように、金輪に縫い付けてから十分かけて乾燥させてから切り取ることで解決できると思います。=>むろんカリカリに乾燥した革を 切り取るには、普通のはさみで歯が立たず、トタン板等の金バサミが必要かも知れない。

B強打したときに、若干のビビリ音がありました。唄口の処理には不安があったので、やっぱり〜と思いつつ対策を検討しました。
■ビビリ音は太鼓面を強打したときに、革の淵の部分が、唄口に接触しているものと思われました。 唄口のエッジを鋭くすることで解決できると考え、思い 切ってカンナで外側のふちを斜めに削りました。=>一応解決をみました。

C今回は0.7mm〜1mm(薄)と1mm〜1.2mm(厚)の革を張ってみました。 据え置きには厚い革も良いかと思いますが、担ぎには全く厚すぎて、 細い撥では満足に鳴ってくれません。 
■担ぎでしたら0.7mm〜1mmが適当と思います。いわゆる馬革のような走りの良い音ではありませんが、十分担ぎっぽい音で鳴ってくれます。音の軽快さ にもっと拘るのであれば、完成後に紙やすりで裏面を削ればよいかも知れません。

D米モミのカンナがけ。板を20枚並べて胴にしましたが、色の組み合わせにとらわれて、木目の順逆が混ざってしまいました。気がつかずにボンドで胴をつく り、カンナで仕上げをと思ったら、逆になっている板の部分で板が汚く削れてしまいました。 仕方なくパテで埋めましたが、木目には良く気をつけましょう。

E重いかな?:米モミも杉も14mm厚の板を使用し、大体丸くなるようカンナがけしましたが、やっぱり担ぎには重いようです。 10mm位の薄い板を使用 するか、思い切って桐の板で胴を作った方が良いかも知れません。

注意:今回の桶胴太鼓は馬場パパが作った初めての太鼓 です。参考に手順を記述しておきましたが、太鼓作りの専門家でなく、木工の専門でもなく、太鼓打ちですらありません。従いまして上記の内容や、使用した材 料等が不適当である場合があるかも知れません。例えば使用した杉の板はすでにある程度乾燥していて、これ以上変形しないであろうことを前庭にしています が、プロの場合は、何年も寝かせて完全に枯らせてから桶を作るようです。したがって今回作った桶胴太鼓が数ヶ月〜数年でひびが入ったり、割れたりするかも 知れません。それでも安くMY太鼓が手に入ること、自分で作った太鼓なら自分で修理でき、何よりも意味ある工作が楽しめること、、、、をご理解下さい。申 し訳ありませんが馬場パパは桶胴太鼓製作記を著したにも関わらず、結果についてなんら保障出来ませんことをご理解ください。また自作すると安いからと言っ て、プロの製品が不当に高いとも思えません。革を水に戻したり、金輪に縫ったり、板を貼ったり、カンナがけしたり〜〜〜かなりの時間がかかることを覚悟し て取り組んでください。 今週の土日に革を、来週の土日に桶胴を、、、土日の作業では作業開始から仕上げまでに3週間位かかるかも知れません。でも出来上 がると嬉しいですね。これが自作の良さですね。 じゃ頑張ってチャレンジしてみましょう。
■使用した道具・工具:         

  ★ 特殊工具(?)の写真集です  クリック  これを観ると太鼓作りが倍楽になる!????

・皮革用縫い器具 1500円 東急ハンズ (なくても頑張ればOKです)
・皮革手縫い針(4本セット) 500円 東急ハンズ
・木工用のこぎり:自分で板を切らない場合は不要。新たに購入するときは両刃の和鋸が便利
・金のこぎり:金輪をプランターから切り離すのに使う。実は無理やり手で押したり引いたりす ると外れるので無くても可です
・カンナ:板の斜めカットと桶に丸みをつけるのに使う。新たに買う場合、カンナは大き目を選びましょう
・切り出しナイフ:唄口の仕上げにつかう。大型のカッターナイフでもOK
・かなづち:なにかの時に必要になる
・木槌:かんなの刃の調整用。板の位置調整ほか
・ひし切:千枚通しに似ているけど、軸が丸くなくひし形になっていて、穴が開けやすいです。革を縫う前にこれで穴をあけておきます
・手縫い用具:写真にある様に上から刺して、下で糸を通して縫ってゆきます。薄い革のときに楽です
・作業台:台がスライド式になっていて、板を万力のようには挟むことが出来るもの。カンナがけには必須です
・荷造り用ひも x1巻き:桶を圧着する時に使いました
・木工用ボンド(大) x1本:即乾性のものは使いにくいので、普通のボンドを使用しましょう
・塗装用刷毛とボンド塗布用ローラー・紙やすり・千枚通し、はさみ、新聞紙、雑巾、割り箸、爪楊枝、、、家にあるもの総動員で
お疲れ様でした。自分で作ってみて、よい方法や工夫があったら教えてください。皆の知恵を集めてゆけば、結構よい太鼓つくりのインストラクションが出来る かもしれません。 ふ〜疲れた、、、と言いながら、桐材(10mm厚)を入手し自分でカンナがけして、もう一個胴を作ってみました。これなら軽くて十分担 ぎに使えます。 一枚一枚の板は弱いような気がしましたが胴に仕上げてみれば結構強度があり、担ぎ桶胴太鼓には十分な強さと思います。(上の完成写真にも 桐材で作ったものをアップしておきました。)
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