1尺5寸:桶胴太鼓の唄口の処理について愚考
作業・記: 馬場パパ
音がビビってる!:
出来上がった胴に、革を取り付け、ロープを金輪に通してテンションを掛け打ってみたら、ある程度強打した時に、雑味感のある音が混ざっていることに気がつきました。 革のあちらこちら、上の革、下の革、、、と丁寧に叩いてゆくと、やっぱり唄口の部分がビビっている様子。 予想はしていたので驚きはしないけど、あ〜出来た!とおもったら、予想通り、もう一仕事!

ビビリ音の発生要因:
(1)革が胴に当たって音が出ている。
(2)革の振動が桶胴を震わせ、たとえば接着の不十分なところなどが振動して接触し音を発する、位しか考えられません。

円周方向の平面度の確認: 
対策のために、革をはずして(1) 平らな面(食卓テーブルとか)に唄口を下にして置いたときに、隙間が見えるようでは、その部分が革の振動でビビリ音を出すであろう〜と思い、やってみると確かに唄口の両方ともに若干の隙間のあることを発見。

>対策: 構造上、カンナ掛けと紙やすりによる丁寧な作業で平面を出すしかないので早速対策。 ほぼ問題ないと思われる程度に平面を得ることに成功! 出来上がった胴に唄口近くに外周に沿って線を引き、そこを鋸で切り落とす方法を実践された方から連絡があり、なるほどと思うものの、鋸でまっすぐ切り落とす自信がなく、せっせとカンナ掛けしました。

やっぱりまだビビる:
再度革を付けて打って見ると、前とは違うけどやっぱり強打しときにビビリ音の発生がありました。
前の対策で、唄口の円周方向の平面はほぼ問題ないと思われるで、今度は、、、といろいろ考えるに、はやり唄口の処理の問題であろうと思い、いろいろと、紙に絵を描きながら想像する、、、で、やっぱりこれしかないなと、思い至るところあり。

唄口の厚さ方向の問題か:
革はバチで強打しますので、当然、結構な振幅で上下に振動します。この振動した革が、唄口のどこかに接触してビビリ音を出す。円周方向の平面は対策したので、板の厚さ方向の問題だろう〜と。 革は金輪にロープを通して強く引っ張ってありますから、唄口と強く接触している部分から音が出るとは考えにくいです。すると、そこ以外に、ビビリ音の発生する要因は、、と思うに、、胴を構成している板の厚さが気になりますね、、、。 つまり板の厚さゆえに、革と唄口が点または線接触になっておらず、面接触になっているならば、接触の弱いところでビビリ音が発生するかも知れません。

>対策: 気になる板の厚さをナイフやカンナ掛けで対策して見ます。 と言っても、 (1) 外側を削り、革が唄口の内側で強く接触する様にする、 (2) 内側、外側とも削り三角山の様に仕上げる、 (3)内側を削り、ここで強く接触するようにする、の3通りが考えられます。 何度も削ると胴が短くなってしまいますので、一応、、愚考に愚考を重ね、添付の図の様な理由から、これが一番良いのではと思い、上記の(1)を選択する。 方法はカンナ掛けの一点張り。 カンナをかけて仕上げは板に巻いた紙やすり。 せっせせっせとカンナで唄口の部分にテーパーを付けてゆきます。 と言って、内側部分のエッジをあまり薄くすると、強度の点が心配ですので、2mmくらいを水平に残してテーパーを付けました。確かな理由はないけど革の厚さ程度を残せば良いのかな? と思う。

>結果: 良好、良好! ビビリ音の発生は抑えられました。

  対策後記:
と、書いてしまえば、なんてこと無いのですが、この唄口の作業が結構大変。 こんなことなら、板材の時点で、前処理しておけば良かったと反省。 板をボンドで貼り付ける前に、唄口になる部分を斜めにカットしておけば作業はきっと何倍も楽かな〜と思います。 
実際のカットの方法は、添付の図面を参考にしてください。 図面=> クリック


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