附締太鼓の自作にチャレンジ
今回は、ひょんなことから手に入った、本物の金輪(中古ですが)と乾燥革を使って、締太鼓を作ってみようと思います。 さてさてどうなることやら。 少しずつ作業しますので、出来上がったところまで順次アップしてゆきます。
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 注:これは見本です
Tsuke shime Daiko
■これは我が家の4丁掛け、8寸胴、ケヤキくり貫き胴、のお店で購入した本当の附締太鼓。 今回の自作では、この締太鼓と一緒に使ってもおかしくないように、かっこいいものを作って見たいと思います。 (って言うか実際に使う息子の依頼です)

・この締太鼓は懇意にしている太鼓屋さんが作ったもので、生革から作っていますので、革の仕上がりがとても綺麗で、触った感じも温かみのある革です。こし(裏の革が胴をくるんでいる部分)の仕上げも丁寧でとてもしっかり作られています。さあ、この太鼓に対抗できるものが出来るかどうか、、頑張らなくっちゃ!
始めて作った締太鼓
(平成15年4月)

Hand made Shime Daiko No.1
■これが今回自作した、3〜4丁掛け、7寸x20枚張り合わせ胴、ニス4回塗り+クリヤー1回塗り、12mmマニラ麻調べ緒の附締太鼓一号です。う〜ん、今出来たばかりですから、まだ十分調べも締めてないし、どんな音がするか分かりませんが、遠目には結構良く出来た感じです。 細かく言うと、実は結構いろいろ反省点があり、また今度作るようなことがあったら改善したいと思います。
出来た!出来た〜!! (後で太鼓店で伺ったら、5丁掛け以上の厚さとのこと、、どうりで縫うのが大変だった、、、、。)
■出来上がって大分たってから、太鼓屋さんに持っていって、いろいろと意見を伺いました。
@ ご主人曰く、この太鼓の革はとても厚くて、5丁掛け以上の厚さがあるとのこと。
A この厚さでは、繩締めでは締め切れず、良い音を出すのが難しいとのこと。
B と言って、裏側をサンダーなどで削って薄くするのは、乾燥革の場合、生革で作ったのと違って、革の強度が落ちるので、注意した方が良いとのこと。
C この太鼓屋さんでも、購入した生革の2/3くらいは使えないとのこと。 厚いところを薄くして、なんとか使うのではなくて、状態の良いところだけを使うとのこと。
D でも良く出来たじゃないですか! いい趣味だね、、、とお褒めの言葉も戴きました。
いろいろ伺ったので、次の自作太鼓に生かそうと思います。
2度目に作った締太鼓
平成15年8月作
(手前の2個が新作)

Shimex4
■と言いながら、新しく2個を平成15年8月の夏休みに作ってみました。作り方は基本的には同じですが、格好を気にして、金輪の周りに麻紐を二重にまいて、太くしてみました。左の写真の手前の2個が新作(?)です。 まだロープがしっかり締まっていませんが、金輪の太さは分かっていただけると思います。音はもう少し打ち込んで観なければ分かりませんが、結構良さそうな予感が〜。。
初回との主な違い:
@金輪の周りに麻紐を二重巻きにして太くした
A革は浅草のお店の”薄”を使った
B桶の色は少し濃い目にして重量感を出してみた
C初回の経験を生かして、もう少し丁寧に作ってみた
D電動工具が揃って来たので、初回に比べると唄口の処理がちょっと上手くなった(かな?)

− 胴 作 成 編 ⇒ 以下参照
− 金輪への革の縫いつけ編 ⇒
 Click
− 仕 上 げ 編  ⇒ Click
1 目標 :本物の附締太鼓と同じ大きさのものを2個自作する。なるたけ丁寧に作って見栄えの良いものにする。音も!
2 革の厚さ :どうやら手に入った革は3丁掛〜4丁掛相当らしいので、一応3丁掛の太鼓のつもりで作る
3 胴の深さ :7寸胴とする(約21cm) 〜3丁掛けはメーカー品も7寸胴くらいが一般的みたいなので
4 締め :ロープ締めとする (クレモナ、麻又は綿のロープ12mm直径を使用予定)
5 ロープの締め方 :経験が無いので、後日経験者から教わる予定。 結構大変そう〜

Ring x 4 pcs
・これが今回入手できた、中古とは言え、本物の金輪です。 3丁もしくは4丁掛程度の附締太鼓用です。4本も入手できたので、早速、締太鼓を2個作ってみることにします。幸いなことに、金輪には黒い塗料が塗られてますので、そのまま使えます。 偶然知り合いから分けて頂いたので、この製作記を読んで、自分も作ってみようと考えた貴方にとって、一番入手困難なのが、この金輪と思います。 太鼓屋さんにお願いして分けていただくのが手っ取り早いかも知れませんね。
Ring ・金輪に梱包用の紐を広げて、金輪の周りに巻きつけました。 伝統的な手法ですと、竹の皮を巻きつけるらしいですが、手ごろな材料で間に合わせました。 ま、革の湿気から金輪を守るのと、若干のクッション効果が期待出来ます。 少しずつ位置をずらしながら巻きましたので、3〜4重巻き位になっています。上手く均一に巻いておかないと、革を張って締め上げたときに、表面が凸凹になります。 でも少し凸凹があった方が本物らしいかな?
(2回目では、梱包用の麻の紐を二重に巻いて、少し太くしてみまし)
Sample
・これは今回作る締太鼓の革縫いのお手本です。 30年くらい前の古〜い附締太鼓の革です。 もちろんこれは金輪に竹の革が巻いてありした。 革の縫い方や、穴の位置、調べ緒を通す穴の大きさなど、上の太鼓とこれを参考にしてみます。 この方が裏側も見られるので参考にしやすいです。 ボルト締めの太鼓に比べると、ロープ締めの場合は、調べ緒を通す穴の直径が大きいです。
板材
・出ました! お得意のカンナ掛け? 今回は、4cm幅の板を20枚使って、胴を作ります。 お店に有った手ごろなサイズの材料がこれだったので、あまり贅沢は言えず、自動的に決まりました。
・材料−桧(ひのき)、幅−4cm、厚さ−1.5cm、長さ−21cm、枚数−20枚
お店で売っていた板は、 40cm幅x15mm厚x1820長でした。1本540円でした。杉であれば1割以上安いですが、適当な幅と厚みの板がなくて、ちょっと出費になりました。
■カンナで斜めにカットするのは、板があまり長くなければ結構素人でも出来ますよ。大丈夫!
Woods
・21cmに切断してからのカンナ掛けはちょっと大変なので、42cmの状態で、斜めにカンナ掛けしました。角度は、360度÷板の枚数=360÷20=18度です。
・20枚ずつ全部で40枚の胴の材料が出来上がりました。
■意外と大変なのが、板を長さをそろえてのこぎりで切ることです。後で胴にしてみると、そろえて切ったはずなのに結構不ぞろいがあって、歌口の処理に苦労しました。 木材店でカットしてもらったほうが良いですね。ちょっとお金が掛かりますが、、。
Tools
・胴を作るのに使用した道具一式です。
金尺(L型の物差し)、和のこぎり(両刃)、カンナ、分度器に物差しがついていて自由に回転するやつ(これがあるととても便利)、作業台、鉛筆、紙やすり、、、くらいかな?
Angle
・上で紹介した、分度器に物差しがついたもの(名前はなんて言うんでしょうか?)
18度にセットして、カンナ掛けした板の角度を測ってみました。 う〜ん、大体18度かな??
見て分かるように、
分度器についている定規が回転しますので、色々なサイズの胴の作成に使用できます。大きさもいろいろあります。胴を自作する方であれば一つ手元においても損はしないと思います。
Woos
・20枚の板を並べて接着作業に入るところです。接着剤は、板が短いので簡単にボンドを塗ることが出来ます。作業性を考えて速乾性のボンドです。2時間〜3時間くらいで強度が出ます。日曜大工派の強い味方です!

注意:作る胴が大きい場合は、最後の板にボンドを塗り終わったら、最初の板のボンドが乾いてしまうこともありますので、通常のボンドを使った方が良いです。
Woods
・予め、20枚の板をビニールテープで止めておきます。そうすると写真の様にボンドを塗ってから、丸い胴にするのが大変楽です。 ガムテープとか他のテープでも良いですが、あまり強いテープですと、後でテープをはがすときに木の表面がめくれてしまうことがあります。 このサイズですと、この絶縁ビニールテープが丁度良かったですが、接着強度が弱いですので、大きな胴ではガムテープの方が良いと思います。
Dou
・ボンドを均一に塗ったら板を丸くします。 その後、周囲をビニールの梱包紐できつく巻いて、ボンドが乾くまで待ちます。またその時に、板の凸凹や不ぞろいを直しておきます。 写真では上下の二箇所を縛ってますが、後で中央付近も縛りました。 約3時間ほど放置して置きました。 (ボンドの説明書きに、加工する場合は20度で2〜3時間待てと書いてありましたので、忠実に守ります。)
■写真を見て分かるように、板の長さが不ぞろいです。 金尺で計って、線引いてからのこぎりで切ったのですが、下手くそですね、、。
Dou
・突然ですが、乾燥した胴にカンナをかけて、概略丸みを帯びた胴になったところで、せっせせっせと紙やすりで胴を綺麗に磨きます。 写真では歌口の部分も既に削られています。胴の中に見えているのは屋台バチの欠けたものに紙やすりを巻いて、歌口の部分の内側を削るのに使いました。
■歌口の部分の板の不ぞろいは、ナイフとカンナと紙やすりでなんとかしましたが、ヒノキとは言え、赤みの部分はとても硬くて、大分苦労しました。お店でカットしてもらったほうが良かったと反省!
Dou ・今日の作業はここで終わりです。 一応胴は塗装すれば良いところまで来ました。
でもしっかり見たら、歌口の部分にまだ少し凸凹かがありましたので、後日紙やすりかカンナで平らに仕上げる予定です。でも、ちょっと綺麗な胴が出来ました。 お櫃にも使えそうですよ、、、。 ひのきですから。 きれいでしょう〜。。 ちょっと嬉しいですね!! 
写真には有りませんが、これと同じものがもう一個出来上がりました。
・数日置いてから、さっそく塗装にかかりました。 (胴2個です)
@表面を再度紙やすり(240番位)で磨き
Aトノコを刷り込んで、乾燥したら布で綺麗にふき取ります
B水性ニスの「ケヤキ」色を塗っては乾燥させ、都合3回塗装
C軽く紙やすり(320番)で表面を磨き
D再度、「ケヤキ」色のニスを塗布
E最後に仕上げ用のクリヤー塗装で仕上げて、ぴっかぴかにしました。全部刷毛で塗りました。
・本当は胴を真ん丸くしたいところですが、カンナ掛けと紙やすりの作業では結構大変。
写真でも板の平らな部分が分かりますが、ちょっと距離をとれば丸く見えるのでOKとしました。
材料はヒノキですが、塗装でケヤキに化けましたね〜。ちょっとおかしいです。
胴の設計(かな?)
・締太鼓の胴の直径は8寸(24cm)と決まっていると、文献にありました。 実物を計ると25.5cmほどありますの、実物合わせで作ることにしました。締太鼓と附締太鼓の違いかなと思いますが、少しずつ違う数字があちらこちらに出てきますね。 
 25.5cm x 3.14 = 80.07cm (胴の周囲長)
 80cm ÷ 4cm幅 = 20枚 つまり、4cm幅の板20枚使えば、約25.5cmの直径の胴が出来ますね。
で、深さは7寸胴としましたので、21cm長です。
・2個作りますので、4cm幅、21cm長の板が40枚必要です。板の厚さは1.5cm位で(お店に有ったのが1.5cm厚だったので)
・材質は当初杉材のつもりでいたのですが、お店にあった適当なサイズの板は、ひのきでした。 お値段も高く贅沢な感じですが、仕方なし。 ヒノキで作ることに決定です。 曲がりの少ない、赤みがかった材を厳選(?)しました。 
反省
・上にも書きましたが、手引きの鋸で板を切断したのですが、定規で測り、真っ直ぐに鋸を引いたつもりだったのですが、組み上げてみると結構、ばらつきがありました。 歌口の部分は平坦性がとても重要ですので、カンナや紙やすりで平坦にしましたが、この作業が結構大変です。 お金に余裕があったら、板の切断はお店の機械でやってもらった方が良いと思います。むしろ難しいと思われる、板の側面の斜めカットの方が楽に自分でカンナ掛け出来ます。

・とのこを乾燥させて、布でふき取るときに猛烈に粉が飛びます。服装や周りに気をつけて作業しましょう。
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