今度は金輪への革の縫いつけです
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■今回使用した革は、知り合いから分けていただいた乾燥革です。プロが販売用の太鼓に使うには難がある、とのことで縁あって私に回ってきたのですが、具合の良いことに4枚中2枚は素人目には何の問題もない(と思われる)綺麗な革でしたので、これを夫々の”打ち”に使い、私が見ても、ちょっとな?と思われる革は”受け”に使って見ることにしました。 この頂いた革の素性が良く分からなかったので、懇意にしている太鼓屋さんに行って観てもらったら、3丁〜4丁掛けくらいの革らしいと判明。 これでなんとか2個の締太鼓を作ってみます。 胴は前のページでなんとか作ってみましたので、それに合うサイズで金輪に革を縫い付けてみます。 作業・平成15年2月8〜9日
重要な注意:これは素人の日曜大工仕事です。知り得た情報を元に作業していますが、太鼓作りについて元々知識がある訳ではありません。一応、こうやってみた、と言う製作記事にしましたが、これがベストかどうかわ分かりません。 つまり自作の参考にして頂いて結構ですが、出来上がりに責任は負えませんので、了承ください。
1 前作業
・水に戻した状態で約56cm直径の革の周囲にそってクレモナの紐を縫い付けます。 金輪のサイズに比して十分縫い代が取れそうです。 今回は56cmに切断された革が手に入りましたので、それをそのまま使ってみます。 革は一晩水につけて戻しました。 同じ直径でも革の質によっては作業しやすい革と、とてもし難い革がありました。掲載の写真は一番厚みが均一な革で、作業のしやすい革でした。 左の小さな写真では分かりにくいですが、革の周辺に沿って、紐が縫い付けてあります。仕上がりに影響しますので、この紐はなるたけ均等に縫いましょう。
2 引っ張り
・周囲に縫い付けた紐に、別の少し太めの紐を通して、引っ張ります。 周囲に縫い付ける紐の間隔はなるたけそろえましょう。2cm間隔くらいで縫ってゆきます。 この縫い方で裏の皺の寄り方が変わってきます。 裏に大きな皺が出来ると、その部分を縫う時に綺麗に出来ません。また革が厚いといくら糸を引っ張っても、皺が伸びてくれず、縫い上がりが凸凹になります。小さな皺が沢山出来るようにした方が良いようです。
3 もっと引っ張り
・革が均等に伸びるように、紐を掛けながら思い切って引っ張ります。金輪をお腹に当てて、紐を手に巻いて、ぐいっと引っ張ります。 このときにかなりの力を掛けますので、縁を縫った糸が細いと切れてしまいます。思い切って太目の糸を使いましょう。 
・革によって、紐で締めると、気持ちよくググッと伸びてくれるものと、硬すぎて全く伸びてくれないものがありました。紐を引いたときにジワッと伸びてくれるのが良い様な気がしました。 また革が弱くて、ずるずるっと伸びてくる部分があったりして、革の状況を見ながら作業しましょう。
4 表側
・その状態で表側はこんな感じです。 
・かなり力を掛けて引っ張ったのですが、表はまだ水分を含んでいるので、ボテッとした感じです。 この革は全体に均質な感じで厚さも揃っていますので、良い太鼓になりそうです。 今回の4枚の革の中の1枚は、裏側のある部分に脂肪がべっとりついていて、水に戻したら、ベタベタして気持ちが悪かったです。指でぬぐうと脂肪が取れてきました〜ううっ。
5 足踏み  
・で、材木の上に革を載せて、体重で伸ばします。どれくらいやれば良いのか良く分かりませんが、10分位伸ばして、また裏の紐を引っ張ります。 これを3回ほど繰り返しました。 革によって厚さが異なりますので、時間や足踏み回数で決めるよりは、革の状態で判断出来なければいけないのだろうなと思います。
・乾燥革は水に戻しても結構硬いので、体重掛けて伸ばした方が良いのではないか、と思いやってみましたが本当のところはどうなんでしょうか? 太鼓が完成して、音があまりに硬いようでしたら、もう少し足踏みしたほうが良かった、と言うことになると思います。
(ある本に乾燥革から長胴太鼓を作るときには、大人が4時間足踏みすると書いてありました。)
6 革の変化
・一応、十分伸びたかな?と思われた時の革の表面です。革の周囲が大分白っぽく変色しているのが分かります。 革によっては、周辺だけでなく中央付近も白っぽくなったり、部分的に真っ白になったり、いろいろです。写真の革は今回作った中で一番状態の良い革です。 (長胴太鼓であれば全面が白くなるまで伸ばすのが当たり前と思いますが、このサイズですと、いくら90Kg の私が乗ってもこれ以上白くなりませんでした。(と言っても都合20分から30分くらいの足踏みです)
7 芸術的な裏側 ?
・その時の革の裏側です。伸ばして、締めて、伸ばして、締めて〜3回ほど繰りかえしましたので、大分革が引っ張られて、裏の開口部が小さくなりました。周辺部の紐の縫い付けに神経を使ったので、裏の皺がほぼ均等になっています。ちょっと綺麗ですね〜。このままとっておきたいような。
8 縫いの開始
・いきなりですが、外側の縫いが完了しました。調べ緒を通す部分をよけて、花形に縫い上げました。 木片に目の位置を書き込み、外周部からの位置がずれないよう簡単なジグを作りました。 ジグでマークして、ひし切で穴をあけながら縫ってゆきました。 30年前の古い締太鼓の革を横に置きながら、それを参考にしました。
9 縫いの開始 その2
・こちらもいきなりですが、内側も縫いあがりました。 なんと3mm直径の木綿の糸を使いました。
ここまで太い糸になると、縫うのが地獄!。 で、△歯の錐(きり)のサイズ”中”で下穴を開けてから縫いました。それでも4枚も縫うと、手と指がパンパンになります。ああ止めたい、もう止めたい、、と思いながら何とか仕上げました。 糸は縫い始めてから完了するまでに、何回も革の小さな穴を通らなければなりません。こすれて弱くなってはいけないので、時々ワックスにこすり付けながら作業します。1枚の革をここまで縫うのに3時間から4時間掛かります。1日で2枚がやっと。内側の縫い目の数は42目が標準らしいので、大体そのようになるように目の間隔をとりました。
10 又また裏側
・その時の裏側です。 〜う〜んなかなか芸術的ですね。 なにか良い音がしそうな予感が!!
実はこの革が一番上手に縫えた革です。4枚の革を比較すると概略以下の通り
(1) この写真の革〜厚みが均一で特に難なし。”打ち”に使います。
(2) サイズがギリギリと小さく、厚い部分と薄い部分が極端の革。厚い部分がものすごく硬くて大変でした。結果仕上がりも綺麗ではなく、薄い部分の強度が心配です。 ”受け”に使います。
(3) 1尺4寸程度の長胴太鼓用の革で、ロープを書けるための切り込みあり。 この革も素人目には難無しで、”打ち”に使います。
(4) この革も大枠問題ないのですが、下の写真に有るように、伸ばしたら、部分的に真っ白になりました。 まあ少し薄いんですね〜この部分が。で、”受け”に使います。
11 胴に当ててみて
・裏の不要な革をはさみで切断し、胴に併せて、革を立て、形が残るようにして、この状態で一晩乾燥させました。 テンションを掛けるために、裏の糸を切りたく無かったのですが、革が乾燥してしまうと、切断するのがほぼ不可能になるので、今回は縫い終わったら、糸をはずし、不要な革を切断して、胴で形をとってから、乾燥させて見ました。手前の革の奥の部分が真っ白になりました。
・この時点では、まだ調べ緒の穴は開けてません。本当は乾燥する前に穴を開けて、その穴に木の棒を差し込んでおけば、仕上がりの綺麗な穴になるのですが、今回は乾燥させてから、電気ドリルで穴開けするつもりなので、印に小さな穴が開いているだけです。 さあ〜次は調べの穴開けと、胴への取り付け、調べの締め上げですね〜。果たして上手くゆくでしょうか???
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