−太鼓の話あれこれ −

(各種ホームページや本や太鼓打ちの知り合いに聞いた 話です。 間違っていたら御免なさい。ご 指摘いただけたら修正します。 いろいろ聞いたり、読んだり、気がついたりした時々に、情報を追加してゆきますので、あまり内容が整理されていませんがご 容赦ください。 太鼓は手作りの要素が多いので、いろいろ太鼓屋さんなりのノウハウとかがあるのでしょうね。)

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■ 太鼓の胴に使用される木材の情報についてはこちらへ  クリック

■ 「太鼓」のつく言葉を集めてみました  クリック



■和太鼓

◇太鼓は奈良時代に中国から伝来したと言われています。奈良時代といえば710年〜784年のことで、天皇を中心とする律令制度の出来た時代です。都は奈良におかれました。 この時代は中国(唐)の文化的影響が強く、太鼓もその一部として伝来したものと考えられます。また現在日本で使われている太鼓の一部には韓国にルーツが見出せるものもあるようです

◇ご存知和太鼓は木の胴に動物の皮を張った原始的な楽器です。牛の皮を使い、くり抜き胴を採用することで、世界で一番頑丈な楽器になっています。 (試験した訳ではありませんが)

よって、良し悪しはともかく力一杯打っても壊れませ ん。逆に洋楽器のドラムと違い、手首だけのステイックワークでは太鼓の持つ本来の音が出ません。あくまである程度の強さを持って打ち込まなければなりませ ん。 剣道などと同じく「心・気・体の一致」が必要です。

◇和楽器は基本的にみなそうだと思いますが、洋楽器の 様に音だしの部分で技術的な便利さを追求していませんね。首振り3年の尺八とか、ステージ上で演奏の直前にお客様の前で調弦する三味線とか、調子に合わせ て何本も持たなくてはならない篠笛とか。不確定要素と言うか、再現性に乏しいと言うか。

したがって奏者の力量や技によって如何様にも出来る音 楽なのかも知れません。難しくもあり、だから面白いのかも知れませんね。



■宮太鼓と長胴太鼓



■和太鼓として最も一般的なものです。長胴太鼓 や、宮太鼓と呼ばれます。この太鼓は淵に革を締め上げるための加工がされていますので、革が緩んできたら太鼓屋さんで締めてもらえます。 この太鼓は構造上太い幹をくり抜いて胴にします。重いですがその分重量感のある深みのある音が出ます。いわゆる和太鼓の音はこの種類の太鼓の音ですね。 
■あるサイトによると元々宮太鼓は太鼓の面と奥 行きの長さが1:1なのだそうです。 これを基本として奥行きが直径より長いものを長胴太鼓と呼ぶのだそうです。 な〜るほどっと納得!
■写真の相洋太鼓で使用しているのは、胴打ちの 激しさを反映して、すっかり塗りがはがれてしまっています。
 


■和太鼓の革(皮)

◇一般的に使用されるのは牛皮です。太鼓の種類によっ ては馬皮も使用されます。海外の太鼓では羊、犬、豚皮なども使用されるようです。(まあ、三味線や沖縄の三線(蛇皮線です)まで入れれば猫や蛇や犬?等い ろんな皮が使われます。三味線は猫皮とばかり思っていたのですが津軽三味線は犬皮を使うらしいですね。どこかに書いてありました)

◇牛革の音は重量感があり丈夫で、流通量も豊富なので 和太鼓はもっぱら牛革で作られます。小型の桶胴太鼓等に馬革が使用されます。馬革は、音が薄く軽快な音を発しますので、他の太鼓との音のコントラストが面 白いものと思います。ただ馬革は牛革ほど強度と耐久性がありませんので、桶胴太鼓を据え置いて、上から強打する用法の場合は牛革を選択したほうが良いです

◇ちなみに合成繊維(ガラス強化繊維FRP等)で作っ た太鼓もあります。プロで舞台の上から雨を降らせたりする演出がありますが、これには防水処理された太鼓を使用するのですが材料はFRPを使用する様で す。 東京ドームの天井を覆っている材料がこれです。



■桶胴太鼓


■胴の部分がくり抜きではなく、桶の様に薄い板 で出来ています。形は超大型のものから、子供が肩から下げて使うものまで色々です。貴重な巨木を使わないので価格も安く、広く使用されています。胴周りの 綱は調緒(しらべお)と言います。これの締め具合により音の高さが調節可能です。板の張り合わせで作られるため軽く、持ち運びに便利ですが音も軽めになり ます。肩から下げて使う小型の桶胴太鼓は馬革も使用されます。 胴の材料は杉や桐の板を使用するようです胴は接着剤で板同士が接着されているものと、タガだけで固定されているタイプがあります


■革 (レザーです)

◇皮を処理して革にします。つまり動物から剥いだのが 「皮」=スキンで、脱毛、脱脂、なめし等の処理を経て太鼓等の材料になるのは「革」=レザーです

◇なめしにも古典的な方法と現代的な方法いろいろある 様です。「タンニンなめし、糖なめし」等が太鼓用の革を作る上では好ましい方法の様です。具体的なことは調査不足で分かりません。勉強して、「皮」を 「革」にする方法についてもアップしますね

◇馬具などでは「オイルなめし」、装飾品等では「クロ ムなめし、、、」いろいろ方法はあるらしいです。なめし方によって、出来上がった革の性質が変わってくるんですね。光沢が必要なのか、柔軟性が必要なの か、強度・耐久性が必要なのか等です

◇「タンニンなめし」が古くから有名ですね。 タンニ ンは緑茶、紅茶、柿等に含まれる渋みの成分で、皮のたんぱく質に反応して、腐らない、長持ちする革にしてくれるのだそうです。 タンニンはカテキンであ り、健康にも良いとか、若返りに効果ありとか、いろいろ研究されているようですね(革が長持ちするってのは、つまり人間さまの皮膚も長持ち=年をとらな い、、 ??
そんな単純なことじゃないだろうな??:管理人の言)

◇いわゆる「革」はTVのコマーシャルで良く耳にする 「コラーゲン」なのだそうです。 身近なところでは腱や髪の毛がコラーゲンなのだそうで、きわめて引っ張りに強い組織とのことです



■皮 (ローハイド又はスキンです)

◇牛の皮が一般的です。原皮(生皮)のお値段が、どこ とかの資料に一頭分で7万円と載っていました。和太鼓には雌牛(メス)の皮が良いとのことで、4歳前後の皮が音に張りがあり良いとのことです。つまり人間 でいう所の、20歳前後くらいの年代の皮が張りがあって良い音がするとのことです。なにか分かる様な気がしますね

◇牡(オス)の革使用と銘打った太鼓もありますので、 この辺は値段で選ぶのか、音で選ぶのかどうなんでしょうか? 乳牛が主体とすれば、雌ですから、牡の場合は肉牛なんでしょうね。でも牡の肉牛は確か生まれ て間もなく虚勢すると聞いたことがありますから、去勢された牡牛の皮ってことでしょうね。(まあ、音にあまり関係は無いでしょうがちょっと気になります ね) 牡の方が皮が厚いですからそれが理由かもしれません。 締太鼓用五丁掛けの革になると、相当厚い皮が必要ですから牡でしょうね 

◇太鼓屋さんが問屋から購入した一頭分の皮から、五丁掛けの皮がとれないことがあるそうです。 相当 厚い皮になりますからね。 太鼓屋さんによっては五丁掛の太鼓の値段は、見積もりによる、なんて唱っているところもありますが、そのせいなんでしょうね、 ちょっと納得。
       



■附締太鼓

■これは締太鼓です。太鼓の中では 高い音を出します。その為比較的厚めの革をカンカンになるまで締め上げてあります。ボルト締めはレンチ等で簡単に調音出来ます。ロープ締めは慣れと力が必 要で、思ったように締めることが難しいです。厚手の牛の腰の辺りの皮を使うようです。 締め太鼓には革の厚さにより、並附け〜一丁掛け、二丁〜五丁掛けと いろいろな種類があります。 

  
   〜馬場パパの家で購入した締太鼓〜

○平成14年1月、4丁掛、ケヤキ材8寸胴のボルト締め締太鼓を購入。 以下に太鼓店で 聞いた話をメモして置きます
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○革:黒毛和牛の牡(オス)で、神奈川県産です
○皮:生皮を問屋さんから購入し、この太鼓屋さんでなめして、革にするとのこと。 なめしの工程で毛を抜き、脱色するらしいですね。その後に皮についた脂肪を削ぎ落として、乾燥させて胴に張れば完成です
○年齢:食肉用黒毛和牛は通常1〜2歳でお肉になります。で、2歳くらいのものと思われます。  本当は4〜5歳の牛から取れた革を使用したいらしいですが、そんなに長いこと餌をあたえていたのでは牧畜業が成り立たないのだそうです。若くてお肉が柔 らかいうちにお肉にしてお金に換えてしまうんですね
○ボルト締めは重いが革の張り具合を自由に決められる。一方なわ締めは締めるのが難しく、多く の場合自分では締められないデメリットがある。 なわ締めが格好いいとして購入しても、結局自分で締めることが出来ずに困っている方も多いらしいです。  (むろん太鼓屋さんで締めてくれますが、有料ですね〜)
○最近では霜降り肉にするため栄養過多で、皮にも脂肪が多くついており、なめし作業が大変との ことです。 理由は聞き忘れましたが、このお店では太鼓にホルスタインの皮は使用しないそうです。本当は使役に使われた4〜5歳くらいの牛の皮が音の面で は最高らしいですが、最近食肉用の牛は、柔らかいお肉が好まれることと、採算を取るために、2歳位で食肉に処理されるそうです
    


■音の違い:その後、なわ締めの太鼓は軽やかな音がするが、ボルト締めは音が硬い、、との ある太鼓打ちに聞きました。 本当かどうか知らないけど、ボルト締めの太鼓はとても重いので、その重さの為に力が太鼓面に集中するのではないでしょうか? なわ締めは軽いので、太鼓全体でバチの衝撃を受けるのではないでしょうかね?? それが音の違いではないだろうか? スピーカーとエンクロージャー(箱)の関係に似ているような気が するな:管理人の独り言



■牛

◇肉牛は若いうちにお肉にしてしまうので、太鼓の皮に 適さないようです。皮が若すぎて弱いのだろうと思います。適当な年代の牛となると、日本では乳牛になるとのことです。使役牛が運動量も十分で、厚い皮が取 れるらしいですが、日本には牛を使って農作業等することは既にありませんので、最近の皮は必然的に乳牛中心とのことです。ただ栄養過多と運動不足により、 脂肪が多く、皮が薄いとのことらしいですね。 

一方の情報では、太鼓には黒和牛の皮を使用することが 多いようです。 なんでも皮の質が太鼓向きであるらしいですね。 つまり丈夫で長持ち〜であるとのこと。 が、黒和牛はいわゆる霜降肉用の牛ですから、つ まり肉牛です。 ということは1〜2歳でお肉になりますから、若い皮になりますね、、



−牛革についてちょっとうんちく−
(太鼓用ではありませんが参考まで)

○牛革:
日本の原皮の85%以上は海外からの輸入です。 産地・年齢・性別などで品質に大きな差がありますので成長段階によって、呼び名が分けられています
○腹仔(はらこ):
生まれる前の仔牛で、その毛が美しい事から毛皮 として使われます
○カーフ:
生まれてから6ヶ月以内の子牛の革で。繊維のき めが細かく牛革の中で一番柔らかく美しいのが特徴です。革面積は小さいですがキズが少ないので世界中で高級ブランド革製品に使われております
○キップ:
生後6ヶ月から2年までの中牛の皮で、カーフよ り厚さも増し革の面積は1,5倍〜2倍になります。カーフについで上質
○カウ(カルビン):
生後2年以上のメスの成牛で既に出産経験のある 革、繊維は荒くなるがオスよりは細かい。ちなみに未産のメス牛をカルビンと言いカウよりはきめが細かい
○ステア:
生後3〜6ヶ月以内に去勢したオスで生後2年以 上になる革。銀面は粗くなるが厚みが平均し耐久性がある。カウやステアは革の面積が大きいので背中を中心に裁ち分けて、なめしを行う
○ブル:
生後3年以上のオスの成牛の革です。革が最も厚 くなり粗くなりますが丈夫
○地生:
「じなま」と言います。国内産の牛革で、生皮の まま取り引きされていたことから地生と呼ばれており、成牛が多く大きさは北米産と変わりませんが、キズが少なくきれい
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鈴鹿さんのホームページを参考にさせて頂きまし た




■皮の使用部位

◇前後に見ると肩のあたりから腰に向かって、皮が厚く なってゆくとのこと。また上下に見ると、背中が厚くて、お腹にかけて薄くなってゆくんですね。このことから想像できるように、厚い皮が必要な太鼓は腰の方 を使用し、薄くてよいのは背中から前の方を使うようです

◇例えば締太鼓の一丁掛け(革が薄い→強く引っ張れな い→音が低い)は首に近いところでつくり、五丁掛け(革が厚い→強く引っ張れる→音が高い)は腰の方となる訳ですね

◇和太鼓は両面に革を張る必要があります。よって革は 2枚必要になります。似た音を得るためには同じ革の近い部位から採る必要があります。ある程度大きい革になると、背中の右側と左側で太鼓の裏・表にするよ うです。むろん大太鼓等は表・裏で2頭分必要になります

◇この場合は太鼓の真ん中あたりに背中の部分が来ます ので、太鼓の中心に線が入っています。この線の入っている部分とその近くでは太鼓の音がぜんぜん違います。通常はこの線の入っている部分を打たないように するとのことです。そのほうが長持ちするらしいです。境目は弱いのです

■?なぜなぜ?腰の皮が厚いの?
馬や牛の皮は腰のあたりが一番厚くなっているらしいですが、なぜか分かります??
ある情報によると、例えばライオンとかが襲い掛かるとき、背後からくるんですね。 で、背後から頑丈な手で 牛や馬の腰のあたりを捕まえて倒そうとしますが、皮が薄いとすぐにやられちゃうので、自然にそのあたりの皮が厚くなり、少々の攻撃ではダメージを受けない ようになっているとのこと。 自然が授けた防御策なんですね〜。 面白いですね!!


■太鼓の胴

◇大太鼓の中でも特に大きいものは、日本では材料が手 に入らないのでアフリカ辺りから、巨木を輸入して中をくり抜いて作るようです。ことによると、「北米の牛皮」+「アフリカ巨木」=「和太鼓」なんてことも あるのかも知れません

◇日本で手に入る材料の場合はケヤキ(欅)・セン(栓 =ハリギリ)・スギ(杉)・カツラ(桂)・栃の木などを使用する様です。詳しいことを省略すれば、これを輪切りにし、胴をくりぬいてから数年から10年と か乾燥させて後に、太鼓の胴として仕上げるのです。でこの乾燥工程で胴にヒビが入ったりすると、太鼓の胴として使えなかったり、値段が下がったりします。  くり貫いた胴の内側の処理により音が変わる、響きが変化するとのこと。内部に金箔を張ったりもするそうです。 響きが良くなるのでしょうかね〜 

◇かつぎ桶胴太鼓ではスギが多く使われる様ですね。韓 国の太鼓”プク”の胴の材料もスギと聞きました。 スギ(杉)以外にヒノキ、桐等も使われます

◇最近では合成木材(木を張り合わせて作る・集成材) や強化プラスチック等で出来た太鼓もあります。自然保護の見地から言えば当然の方向でしょうね。天然木にあまり拘らない方が良いかも知れませんね  

◇大太鼓(3尺=91cm以上の直径を持つ太鼓の ことを大太鼓と呼ぶようです) では唐木と呼ばれる材料を使用するようです。 主に海外からの輸入に頼っているとのことです



−日本の主な牛の種類−
 

−黒毛和種−

日本の肉用牛の主品種。毛色は黒。肉質が 大変すぐれている。(右図はイメージです)



−褐毛和種−

熊本県と高知県を主産地とする肉用和牛。 毛色は褐色。元々は農耕用。(右図はイメージです)



−ホルスタイン−

日本の乳用牛のほぼ全て占める。 雄牛は去勢して食肉用に飼育する。  (右図はイメージです)



■太鼓の撥(ばち)

◇太鼓の大きさや、曲目により使用するバチも替わりま す。まあ一言で言えば、大きな太鼓は太く長いバチで、小さい太鼓は細いバチで打たれます。材料は、メープル(楓=もみじ)、樫(かし)、朴(ほお)、桧 (ひのき)等色々です。 硬いバチは強打に耐えますが手首に与えるインパクトが強くなります。やわらかいバチは強打に折れやすいですが、手首を損傷から 守ってくれます。他に竹で作った通称竹バチも使用されます。軽快な跳ねるような音がします。 

形は通常は、うどん粉を伸ばすときにつかう単なる木の 棒の様なものですが、手元と先で太さの違うもの、棒と言うよりは材木と言った方が良いような太く・短いバチ、「鬼太鼓座」が海外ステージ等で使う、日本刀 を模したそりのあるバチ等いろいろですね

◇本格的な太鼓打ちは、木材から自分で気に入った長 さ、太さ、形に仕上げるようです。 たとえば材木店から適当なヒノキの角材を購入し、適当な長さにのこぎりで切断し、ナイフやカンナで隅を取り徐々に丸く 仕上げます。要領としては、四角い棒の四隅をカンナで削り、八角の棒にします。で、同じく十六角にします。ここまでくると、もうほとんど丸い棒ですね。が んばって完全に角をとります。

次に太鼓の革を傷めないように、棒の先を丸く仕上げま す。 

木材を選ぶときは、バチが割れないように木目が斜めに 入っているものは避けましょう。 

仕上げは紙やすりで完全に表面が滑らかになるようにし ます。



■バチ数種類
 

■バチ:相洋 太鼓ではあまり特殊なバチは使いません。樫、朴、ひのき製の標準的な撥が主です。 それと演目によっては竹バチも使います

 



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